AO入試合格者の大学退学率は本当に問題ですか?

こんな記事みつけちゃった。わお、面白いよね、これ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140708-OYT1T50196.html

AO入試合格者、6人に1人が退学…読売調査

ということで、ここからすごく長くなりますが、私の所感を徒然と。。。
変な人が言っていることですので、受け流して頂ければ結構です。


1.大学は義務教育ではないよね?辞めるの自由じゃないですか?
まず、退学することは悪いことだ!という論調に私は馴染めません。
なぜなら大学は義務教育ではないからです。
みんなが自分で判断し選んで入った高等教育機関です。
辞めるのは自由ではないのでしょうか?
大学に入ってみて、自分が本当に行きたい道がやっと見えて、自分自身で舵を切ったのなら、それは応援すべきことではないかと思います。

かのスティーブ・ジョブズさんも退学されていますが、
大学を辞めて自由に色んな学部の授業をとるようになり、
Macの精神ともいえるフォントの美しさに出会っておられます。

この報道の背景には、「大学を卒業したら、優秀」という前提があるような気がします。
私はこの前提には反対です。大学に行かなくても優秀な人はたくさんいるし、
大学辞めて自分の道を見つけている人だっている。
逆に大学で授業真面目に受けてるけど、それだけで全く学んでない人もいます。
授業を受ける=学ぶではないですからね。
だから、大学に入れば、卒業すれば優秀だというのは大間違いです!
「大学を卒業した」とか「大学辞めた」とか、そんな形だけでは何も分かりませんよ。
「辞めた」という行為を数だけで見て、それは由々しき問題かのような雰囲気は
本当にそうかなぁ?と思うのです。

2.AO入試は各大学が好きにやっている入試形態なので、
 それを一括りにした結果で何かを述べるのは難しくないですか?

AO入試って一概にひとくくりに論じることが難しい入試ではないかと思います。
実は、仁藤自身もAO入試で慶応大学SFCに進学しております。
確かに、世の中には色んなAO入試があります。
数合わせのためだけに大学が入学者を入れるものや、
大学というコミュニティに化学反応を起こすことを狙った入試など。
大学によってその狙いは様々です。それがAO入試なんです。
大学ごとにポリシーを出して、欲しい人材を取る。
ですので、退学率を論じるなれば、大学ごとに分けて集計して論じるべきです。

我が母校の慶応大学SFCで言えば、「化学反応」を狙っているのではないかと
勝手に思っています。異なる評価方法で人を確保し、大学を構成することで、
創発が生まれる可能性が高くなると信じたからこそ始まったのではないかなと思うのです。
私もその可能性は信じていますし、実際にAO入試生の先輩や後輩に変な人が多くて
いい年になっても社会に挑戦している人が沢山います。
自分の道を見つけたといって辞めた先輩もいます。かっこいいと思います。
「AOってこういう変なやつを囲う変な入試」なんですよね。
変なやつを変な先生たち(スミマセン!)が見つけようとするから、当たり外れもきっとあります。
そういう博打さが残る入試がAO入試です。だから、対策とかってやっても無駄ですよ、きっと。
そういうポリシーでAO入試をやっている大学が、退学者の数でその正否が問われることに違和感を感じますが、どうですかね?そもそも博打入試なんだし…(笑)
「みんな無事に卒業しました」という評価軸はおかしいでしょう。

もちろん、なんのポリシーもなく、ただ学費を徴収したいがためにAO入試という
名前を使い、いい加減な入試をやっているような大学は、責められるべきです。
そういう大学を、退学者の数で責めるというのは1つの方法としてはありますね。
ただ、そういうポリシーのない大学運営も大学の自由なので、生徒の皆がそういう大学を選ばないように自ら考え決断すべきだとも思います。
そう考えるなら、大学ならばどこでもいいから入っとけ!という進路指導する人も責められるべきかもしれません。(同じ意味で、国公立ならどこでもいいから入っとけ!という進路指導もどうかと思います。学びって、そんな単純な基準で決められるものではないと思うんですが、どうでしょう。悩む時間くらい子どもたちにあげましょうよ。教育って大学に入れることがゴールじゃないですもん。
学校教育とはそんな浅い目的のためだけのものでしょうか。)

うーんでもやっぱり
大学とは辞めていいところだと思っていますので、辞めたことそれ事態が
悪いとはやはり言い切れません。数だけでそんなことまで評価できません、私は。


3.多様な人材を多様な入試で評価する形って面白いよね。
正解のあるパターン化された問題をとくことが上手な人も優秀だし、
何か一つの分野で得意稀なる集中力と持続力を発揮する人も優秀だし、
これから解決しなければいけない、正解を創らなければいけない問題に挑戦する力がある人も優秀です・・・よね。
優秀さは、1つの入試形式だけでは測りきれないと思います。
そう考えた人がいたから、変な入試方式が始まったのでしょう。
多様な人材を多様な入試で測定するというのは、私は1つの方法に縛られるより面白いと思っています。

イノベーションが求められる時代に、異分子を組織に入れるという選択は大いに有り、ということで。


4.表題とは関係ない余談だよ
正直に言うと、私も一般入試=優秀、AO入試=アホという評価軸を信じていて
長い間自分の選んだ入試にそして自分自身の能力に自信が持てず悩んでいました。
「私、すんごくアホーな存在なのに、優秀でピカピカした人たちと一緒に学べるんだろうか」、と。
でも、今となっては本当にどうでもいい悩みです。

私、いま毎日新しいことに挑戦しています。(遠隔授業でしょ、学校拡大でしょ、○○の企画でしょ、○○のテキスト作りでしょ、○○スクールでしょ etc)
フリーターのような生活で、大きな企業で働くという形の安定(そもそも私はこれが安定だとはおもっていません。変化こそが一番の安定だ、がポリシーですから)はありませんが、
私が挑戦せずに誰がするんだと思って(自意識過剰気味に)新しいことにトライして、楽しんでいます。

明らかにアホで好き勝手に生きている人です。
明らかにアホですが、アホはアホでも、見方を変えれば優秀になると最近気付きました。
私、アホ界のなかでは中々やっていけてます。優秀かはしらないけど。
アホは最高に楽しいです。


5.生徒へ
今いる世界に評価されない生徒の諸君。
君には未来がある。自分の道を作りましょう。
評価されたいなら、自分が評価される道を作ればよいのです。

あと、AO入試で大学に行った諸君(キミとキミとキミだよ、順不同)
AO入試というプライドを持ちなさい。何するために大学に行ったのだ。
ただ、所属するだけなら、君はAO入試の名前に負けているぞ。
楽しみながら、全力で。


以上です。ふぅ。

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